「機動武将まじかる☆呂布リン!」
          第6話 『うらぎりパワーでだいかつやく(仮)』Aパート
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          シーン1 董卓の根城
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          (どこかの建物の中、灯かりは壁に備えられた蝋燭のみ)
          (蝋燭の頼りない炎が揺れる中、李粛、胡軫、華雄の姿が照らされる)
          (3人とも跪いている)

          (3人の正面には巨大な体躯の者が座っている)
            ※↑シルエットのみ描写
          (重低音のような響く声)
          董卓:結局任務は失敗したのだな・・・?
          李粛:ハッ! 申し訳ございません!
          董卓:しかも3人がかりでそただ一人に敗れるとは なんというザマだ
          李粛・胡軫・華雄:は、ははぁーっ! 面目次第もございませぬ!
          董卓:ふん、次なる手を考えねばな
          李粛:殿、そこで拙者に提案がありまする
          董卓:・・・下らぬものなら容赦はせぬぞ?
          李粛:はっ! 実は我らを退けたあの子供についてなのですが・・・

          シーン2 体育館裏
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          (時計のアップ。時間は昼休み)

          (呂布の顔、アップ)
          呂布:はっくしゅんっ!
          呂布:誰かわたしのうわさしてるのかな

          赤兎:ほーちゃん、風邪でもひいた?
          呂布:ううん、だいじょうぶ それで、話ってなに?
          赤兎:見て

          (赤兎、前回拾った紙片を見せる)
          赤兎:これは史跡公園で拾ったんだけど
          呂布:ずいぶんにじんでるね このかみ、なーに?
          赤兎:昔、あたしの居た世界である仙人が作ったお札。ここに名前を書くと、
             その人物がその場にいるような気配を発するの
          呂布:ふぅん??
          赤兎:本来は仕事をサボるための道具なんだけど、なんであそこに落ちていた
             のかしら。見つけた場所があまりにも不自然だし
          呂布:それで、なまえはなんて書いてあったの?
          赤兎:残念ながら解らない あたしが見つけた時はもう読める状態じゃなかっ
             たわ
          呂布:そっかぁ ざんねんだね・・・
          赤兎:でもね、これって偶然なのかしら

          (呂布、首をひねる)
          呂布:んん? どういうこと?
          赤兎:ほーちゃんがあの3人と戦った場所って出入口が一箇所しかなかったで
             しょ?
          呂布:うん
          赤兎:出入口が狭くて一人ずつしか通れない所、と言う事は戦う時は常に1対1になる・・・つまりそういう場所では一人で沢山の相手と渡り合えるの

          (呂布、心底驚く)
          呂布:あ、そうなんだ! なるほど!
          赤兎:でもね、それって何かうまく行き過ぎてる気がするの
          呂布:なんで?
          赤兎:ほーちゃんは兵法って知ってる?
          呂布:へーほー? ううん、しらない へーほーってなぁに?
          赤兎:簡単に言うと戦い方の学問よ そしてさっきの戦い方は少なくともある程度兵法の心得がある者のしわざよ

          呂布:でも、それはぐうぜんじゃないの?
          赤兎:あたしも最初はそう考えたわ でもね、裏山の時を思い出して
          呂布:なんかあった?
          赤兎:擬兵の計の跡があったでしょ
          呂布:あっ!

          (赤兎、畳み掛けるように)
          赤兎:それだけじゃないわ 李粛と出会った事そのものもおかしいわ
             いくらほーちゃんの武力が強力だからって簡単に李粛程度の武将
             がほーちゃんの存在を感じ取れるとは思えない
             李粛と出会った直後の擬兵の計の跡
             3週間の期間を置いてまるでほーちゃんの戟の技が高まるのを待
             っていたかのように史跡公園ではまた李粛と出会う
             戦った場所は1対多数に有利な場所
             まるで初めから「向こうは3人がかり」って知っていたみたい
             そしてその近くに落ちていたお札・・・

          (呂布、一気にまくし立てられ目が回る)
          呂布:はぅぅ・・・
          赤兎:どう? 材料が揃い過ぎているとは思わない?

          呂布:ええと、赤兎ちゃんはどうおもってるの?
          赤兎:あたし達の近くに何者かがいるんじゃないかって思うのよ
          呂布:ふぇ?

          (赤兎、ブツブツと独り言)
          赤兎:でも、これだけ材料をばら撒けば誰だって気づきそうな・・・ううん、
             そう思わせるのが目的だとしたら?あるいはほーちゃんなら気づかない
             だろうと当たりをつけての事?仮にだれかが意図的に今の状況を作り上
             げているとしたら何の目的があって?

          (呂布、恐る恐る話しかけてみる)
          呂布:あの、赤兎ちゃん?
          赤兎:・・・
          呂布:赤兎ちゃん!
          赤兎:あっ ご、ごめんなさい 何かしら?
          呂布:えっとね、赤兎ちゃんよくそんなスゴイことに気づいたね
          赤兎:気づいたのは昨夜だけどね

          (昼休み終了の予鈴が鳴る)

          呂布:いっけない! じゃあわたしごごのじゅぎょうがあるから!
          赤兎:うん 気をつけてね!
          呂布:は〜い

          (呂布、走り去って行く)
          (呂布を見送った赤兎は困った表情)
          赤兎:それにしても・・・普通、あたしより早く気づきそうな感じなのに・・・
          赤兎:ほーちゃんって案外知力が低いのかしら?

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          シーン3 同時刻の校舎屋上
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          (陳宮が一人、屋上に立っている)
          (陳宮は手に携帯電話を持ち何者かと会話)
          陳宮:はい、現時点では順調です
          電話:順調?そうか。頼もしい限りだな
          陳宮:ありがとうございます
          電話:しかし・・・先日の件は頂けぬな
          陳宮:は?
          電話:錯覚の札を紛失したであろう
          陳宮:はい しかしアレは大勢に影響を与える事象ではありません
          電話:そうだと良いがな ところで・・・件(くだん)の子供は?
          陳宮:我々と敵対する意思はない模様です
          電話:うぬがそう仕向けているのであろう 何故そのような回りくどい真似をする?
          陳宮:いつか彼の者の能力が役に立つ事もありましょう、と思いまして
          電話:それも一つの考えであるが、あの武力はいささか強すぎるな・・・

          (昼休み終了の予鈴が鳴る)

          陳宮:・・・申し訳ございません、そろそろ時間が
          電話:うまく逃げおって・・・まあよい さっさと行け
          陳宮:はっ、では失礼致します

          (陳宮、電話を切って困った表情を浮かべる)
          陳宮:あのお方が玉璽を得れば・・・本当に収まるのでしょうか・・・


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          シーン4 教室
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          (授業中。教師が黒板の前で教科書を朗読している)
          教師:(教科書の朗読)

          (呂布にカメラがズームイン)
          (呂布は両手で教科書支えて読んでいる)
          (時折首を傾げたり、眉間にシワを寄せて何やら考え込んでいる)

          呂布:(赤兎ちゃんのいうことはもっともだと思う)
          呂布:(思うけど、だれがそんなめんどうな事をやっているのかしら?)
          呂布:(でも、しょうこはいまの所、ぎへいの計とあのお札だけだし)
          呂布:(いままでの事だった「ぐうぜんがかさなっただけ」っていえなくもないし)

          (呂布は鉛筆を回したりしている)

          呂布:(でも、ぎゃくに「しょうこが少なくとも2つある」ともいえるし)
          呂布:(もしほんとうにぐうぜんじゃない、としたら一体だれが?)
          呂布:(赤兎ちゃんは「近くにいるなにもの」っていってたけど、それこそなにものよ?)

          呂布:(近くにいる・・・なにもの・・・ねぇ)
          (呂布は何気なく横目で陳宮を見る)
          呂布:(陳宮クンか・・・うん・・・近くにいる・・・)

          (陳宮はまっすぐ黒板を見ていたが、やがて呂布の視線に気づく)

          (陳宮、呂布の方を見る。視線が合う)
          (陳宮、微笑む)
          呂布:え!
          (呂布は顔を真っ赤にする)
          (呂布、咄嗟に教科書で顔を隠す)

          呂布:(さいきんわたし、へんだよぉ〜)
          呂布:(なんか陳宮クンの事ばっかり気になるし)

          (呂布、教科書から目だけ出して陳宮を見る)
          (陳宮は微笑んだまま呂布を見ている)
          呂布:(陳宮クンに見られてる・・・なんかどきどきしてきちゃう・・・)

          (呂布は笑顔で返す。顔の前で小さく左右に手を振って陳宮に対して「なんでもないの」というサインを送る)
          (陳宮、頷いて黒板に視線を戻す)

          (呂布は小さく溜め息をつく)
          呂布:(わたし・・・どうしちゃったのかな・・・)


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          シーン5 放課後の通学路
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          (十字路でクラスメイトと別れ一人になる呂布)
          呂布:ばいばーい またあした
          生徒A:じゃあねー
          生徒B:さよならー

          (呂布が一人で歩いている)

          呂布:さぁてと、きょうは帰ったらなにしようかな?

          (呂布の前に人影が躍り出る)
                ※↑画面上はまだ黒塗りの影で誰かは判別できない
          (呂布、驚いて身を引く)
          呂布:きゃぁっ!

          (人影に光が当たり、李粛である事が判明)
          (呂布は警戒している)

          呂布:あ、あなたは・・・李粛とかいう人!
          李粛:そこの子供、話がある

          (呂布、ポケットから戟を取り出し元の大きさにする)
          (呂布はそのまま戟を構える)
            ※↑一連の動作は滑らかに。呂布が相応の腕の持ち主である事を強調する

          呂布:話ってなに!?
          李粛:子供よ、そう身構えるな 今日は話し合いに来ただけだ

          (呂布はまだ戟を構えたまま)
          呂布:・・・しんじられない・・・
          李粛:疑うならばそのままでも構わん とにかくここは人目につく場所を変えよう
          呂布:じゃあ・・・わたしが場所を決めてもいい?
          李粛:よかろう どこに行くのだ?子供よ
          呂布:どうやら本当にたたかう気はないみたいね・・・

          (呂布、しばらく考えてから戟をポケットにしまう)
          呂布:いいわ、こっちに行きましょ それから・・・
          李粛:何だ

          呂布:わたしは『子供』じゃなくて『呂布奉先』っていう名前があるの
          李粛:承知した
            ※↑知力の関係で呂布は本名を名乗る

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          シーン6 近所の空き地
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          (呂布の家の近所にある空き地。整地されている)
          (空き地の道路に面した側には『○×マンション建設予定地』という看板がある)
          (地面にあちこちに雑草が生えており、整地されてから年月が経過している事がわかる)
          (看板自体も錆付いており、工事が進展していない事をうかがわせる)

          (空き地の端から呂布と李粛が連れ立って歩いてくる)
          (呂布は李粛を警戒しながら歩き、李粛は普通に歩く)

          (二人とも空き地の真ん中辺りまで進み、呂布は停止)

          (呂布、李粛を見て)
          呂布:ここでどう?
          李粛:まあ、よかろう
          呂布:それで、話ってなに?

          李粛:うむ・・・
          (李粛、腕を組んでしばらく押し黙る)

          呂布:・・・?
          李粛:実はな、呂布殿 我らと行動を供にする気はないか?
          呂布:どういうこと?
          李粛:我らの仲間にならぬか、と言う事だ

          (呂布、大いに驚く)
          呂布:ええっ! ちょっと、いったいなにいってるの!?
          李粛:驚かれるのも無理はない だが、貴殿の腕を見込んでの事だ
          呂布:そんなこと、できるわけないじゃない!
          李粛:なにゆえかように申される?
          呂布:だって、だって・・・赤兎ちゃんが玉璽をねらう悪いやつだって・・・

          (李粛、困ったように言う)
          李粛:やれやれ・・・赤兎馬め、そんな物言いも出来ようとはな

          (李粛、呂布に気づかれぬ様にそっと自分の腰に手を伸ばす)
          (李粛、腰に括りつけてあった小さな袋の口をに緩める)
          李粛:(拙者の舌先三寸でも充分とは思うが・・・ここは一つ、念を入れておこう)
          (袋からなにやら薄いガス状のものが漂う)
          李粛:(この香でより拙者の言う事を聞きやすくなる)

          (李粛、わざとらしく咳払い)
          李粛:良いかな、呂布殿 あらゆる物事は立場が違えば見方も変わる そう、
             赤兎馬から見れば我らは「敵対する悪い輩」となろう だがな、呂布殿
             とっくりと考えてみられよ 今、我らのいた世界は玉璽を失い、それを
             求める者が競い合っておる 玉璽を巡る混乱は実際に誰かが玉璽を手に
             するまで続くであろう ここまではよろしいな?

          (呂布、神妙な顔つきで頷く)
          呂布:う、うん・・・
          呂布:(あれ? なんか体が熱くなってきた・・・)

          李粛:では、混乱を収めるにはどうすればよいか? その答えは簡単だ 誰か
             が一刻も早く玉璽を手にすればいいのだ そうすれば他の者も玉璽を得
             た者に従わざるを得なくなるからな ここまではよろしいな?

          呂布:(お話・・・聞かなきゃ)
          呂布:うん・・・いいよ、つづけて

          李粛:さて、ここからが本題だ 我らもまた玉璽を求め捜しておる もし我ら
             が玉璽を手にすれば、たちまちの内に混乱は終りを告げるであろう

          (呂布、顔が風邪を引いたように赤くなる)
          呂布(なんか・・・頭が・・・ぼーっとして来ちゃった・・・いけない・・・)
          呂布:・・・まって、それはなぜ・・・?
          李粛:うむ 其れはな 董卓様が混乱を収めるからだ

          呂布:(もっと・・・もっと・・・お話の続きが・・・聞きたくなってきちゃった・・・)
          呂布:その人・・・だれ?
          李粛:董卓様は我らが主(あるじ)だ 非常にすごいお方だ もしこのお方が
             玉璽を手にすればたちまち乱れた世は平定されるであろう
          呂布:ねえ・・・そんなに・・・すごいの・・・?

          (李粛、わざとらしく大きく頷く)
          李粛:うむ その通りである 拙者とは比べ物にならぬくらいのお方だ

          呂布:(このままじゃ・・・いけない・・・いけないけど・・・)
          呂布:で、でも・・・

          (李粛、ニヤリと笑う)
          李粛:(よし、もう少しだ)
          李粛:よいか? それほどの力を持つ貴殿が、もし董卓様と力を合わせたなら
             どうなる? 玉璽が見つかれば瞬く間に世の乱れは収まり、仮にこの偉
             業を邪魔立てする者があろうとたちまちの内に蹴散らしてくれようとい
             うもの

          (李粛、畳み掛ける)
          李粛:貴殿は素晴らしき武力を秘めておる どうだ? 偉業を盤石なものとする為 是が非でも我らにその力を貸していただけぬであろうか?

          (李粛、間髪入れ図に跪いて土下座する)
          (困惑する呂布)
          李粛:なにとぞ! なにとぞ、その力を!

          (呂布はフラフラと足元がおぼつかない)
          呂布:(なんか・・・なかまになっても・・・いいかなぁ)
          呂布:うん・・・いいよ・・・わたし・・・

          (李粛、顔を上げる)
          李粛:おお! さすがは呂布殿! これでもう玉璽は見つかったも同然!

          (呂布の瞳は焦点が定まっていない)
          (無言で頷く呂布)
          呂布:・・・・・・

          (李粛、嬉々として)
          李粛:では呂布殿、早速わが主にお目通りを
          呂布:うん・・・
          李粛:(よし、事は成った)

          (呂布と李粛は空き地を去っていく。呂布はフラフラと足元がおぼつかない)
          (対照的に李粛は意気揚々とした足取り)


          (2人が去った後、誰もいない空き地がしばらく画面に映し出される)
          (時折風が吹き雑草が揺れる)

          (突如、空き地に何者かの影がさす)
          (カメラは影の方向へ)
          (すると陳宮が肩で息をしている姿が)

          (まだ息が乱れて苦しそうに)
          陳宮:はぁはぁ
          陳宮:ま、間に合いませんでしたか・・・!

          (陳宮は辺りを見回す)
          陳宮:まだ遠くへは行っていないはず!

          (陳宮はそう言うと走って空き地を出て行く)

          (更にしばらくの間、空き地が画面に出ている)

          (また影がさす。影の語りから赤兎である事がすぐにわかる)

          赤兎:ほーちゃん! ほーちゃん!

          (赤兎、何かに気づいたように鼻を鳴らす)
          赤兎:あっ この匂いは!
          (赤兎、悔しそうに)
          赤兎:武力の乱れを感じて来てみれば・・・なんてことに

          (赤兎、鼻をあちこちに向け匂いを嗅ぐ)
          赤兎:こっちからまだ残り香がする!
          赤兎:ほーちゃん、今行くからね!
          (赤兎、走り出す)

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