「機動武将まじかる☆呂布リン!」
          第8話 『わたしのぶりょくはいちばんだもん(仮)』Aパート
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          シーン1 学校の教室
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          (教室内の時計アップ)
          (時間は始業の少し前)

          (呂布は教室の自分の座席に座っている)
          (呂布、頬杖をついてぼんやりとしている)

          呂布:はぁ〜
          (呂布はため息をつく。冴えない表情)

          (生徒Aが呂布の後ろの席から話し掛ける)
          生徒A:ねぇ ほーちゃん、どうしたの?

          呂布:え、あっ
          (呂布、後ろを振り向く)
          呂布:その・・・な、なに?

          生徒A:さっきからため息ばっかりよ 何かあったの?
          呂布:あ あは、あはは そういうわけじゃないから だいじょぶ うん

          (生徒Aは心配そうな顔をする)
          生徒A:ほんと?
          呂布:うん

          (生徒A、身を乗り出す)
          生徒A:そう・・・あのね、私に何かできる事があったらいつでも言ってね
          呂布:わかった・・・ありがとう
          (呂布は前を向き、生徒Aは元のように座りなおす)

          呂布:はぁ〜
          (呂布は再びため息をつく)

          呂布:(せきとちゃん・・・)

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          シーン2 回想(自宅:呂布の自室)
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          (赤兎が赤兎の部屋にいる)
          (廊下からスリッパを履いた足音がして、だんだん近づいてくる)

          (呂布、自室のドアを開けて部屋に入ってくる)
          呂布:あー なんかやっとおちついた
          (呂布、後ろ手でノブを掴みドアを閉じる)

          (呂布は風呂上り。濡れた髪をバスタオルで拭いている)
          (ピンク色のパジャマ姿の呂布)
          (パジャマは若干大きめなので袖や裾を折っている)

          (赤兎、呂布に近づき鼻を鳴らし匂いをかいでみる)
          赤兎:うん、香の成分は全部流れたわね もう大丈夫よ

          (呂布は自分の腕や身体の匂いをかいでいる)
          呂布:そう? んー よくわかんない

          赤兎:別に変な気分になったりしてないでしょ?
          呂布:うん
          赤兎;じゃあ問題なし、ね

          (呂布は髪を拭きながら話す)
          呂布:あのへんなにおいってなんだったの?
          赤兎:あの特殊な香よ
          呂布:なにそれ
          赤兎:あの匂いには特殊な成分が混ざっていて、もし吸い込んだりすると何で
              も他人を言う事を聞くようになるの

          (呂布、非常に驚く)
          呂布:えっ! そんなきき目があったの!
          赤兎:そうよ とても危険な物だったの
          (呂布は涙目になる)
          呂布:ど、どうしよう!?

          (赤兎、呂布をなだめる)
          赤兎:大丈夫よ もう香は洗い流れたわ
          呂布:ほんと?
          赤兎:うん
          呂布:よかったぁ
          (呂布、安堵する)

          (赤兎、不思議そうに尋ねる)
          赤兎:でも、あそこからどうやって脱出したの?
          (呂布は腕を組む)
          呂布:え、うーん・・・よくわかんない

          (呂布は宙を見ながら何となく答える)
          呂布:なんかねぇ・・・じぶんでぬけだした・・・ような気がするの
          赤兎:『気がする』?
          (呂布、赤兎に視線を戻す)
          呂布:うん
          赤兎:それ、本当なの?

          呂布:じつはねぇ あの時のこと、よくおぼえてないの
          赤兎:そうなの?
          呂布:でも、だれかがいたような気もする
          赤兎:え、ほんと? 誰かしら?

          (呂布、髪を拭く手を止める。バスタオルを頭から被る格好になる)
          (呂布は申し訳なさそうな表情)
          呂布:それが・・・よくおもい出せないの
          赤兎:そっかぁ ちょっと残念かな
          呂布:ごめんね
          赤兎:そんな、謝らなくていいわよ
          呂布:うん・・・

          (呂布、赤兎をみて笑顔で礼を言う)
          (呂布、バスタオルを肩からかける)
          呂布:でも、せきとちゃんのおかげでうまくにげきれたわ ありがとう
          赤兎:ううん、いいの ほーちゃんが元に戻ってよかったわ
          (赤兎も安堵の表情)

          (呂布、うって変わって気まずそうな顔になる)
          (呂布は赤兎に話し掛けようか迷う)

          呂布:ねえ、せきとちゃん さっきから気になってたんだけど
          (呂布、意を決して赤兎に声を掛ける)

          赤兎:え?
          (赤兎は『遂に来たか』という緊張した表情)
          呂布:せきとちゃん、とうたくって人のなかまだったって本当なの?
          赤兎:それは・・・

          (部屋の中で向き合う呂布と赤兎)
          (呂布は赤兎をじっと見ている)
          (赤兎、目を伏せる)

          (赤兎、沈黙)
          (呂布は不安と疑いと怯えが混ざった複雑な表情)
          呂布:・・・
          赤兎:・・・
          呂布:ねえ・・・
          赤兎:ごめんなさい・・・ほーちゃん
          呂布:あやまらなくていいから
          呂布:せきとちゃん、わたしは本当かうそか知りたいの
          (赤兎、消え入りそうな小さな声で答える)
          赤兎:ごめんなさい・・・

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          シーン3 学校の教室(回想終わり)
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          呂布:(あれからなにをきいても「ごめんなさい」ばっかり)
          呂布:(せきとちゃん、どうしてなにも教えてくれないの?)
          呂布:(ほんとうだから教えてくれないの・・・?)

          (呂布、ため息)
          呂布はぁ〜

          呂布:(こんな時はどうしよう)
          呂布:(だれかにそうだんしたら、なんとかなるかな?)
          呂布:(そうだんするにしても、こんなことだれにきけばいいのかしら)
          呂布:はぁ〜

          (呂布、首を曲げて無意識に陳宮の席を見る)
          (陳宮は普段どおり着席している)
          (陳宮、教科書を読んでいる)

          呂布:(やだっ! わたしったらなんで陳宮クンのほうを見てるの!?)
          (呂布、赤くなって正面へ向きなおす)

          呂布:(あ〜 どうして陳宮クンなの?)
          呂布:(でも・・・)

          (呂布もう一度、陳宮の方を向く)
          呂布:(でも、陳宮クンならきいてくれそうな気がする)
          呂布:(どうしてかしら?)

          (陳宮、呂布の視線に気づいて教科書から顔を上げる)
          陳宮:(あれ? 誰かに見られているような?)
          (陳宮、呂布と視線が合う)

          陳宮:・・・
          呂布:・・・

          呂布:(きゃっ 気づかれちゃった!)
          (呂布は顔が赤くなる)

          陳宮:(呂布さん?)
          (陳宮の脳裏に前回の出来事が蘇る)
          (陳宮も顔が赤くなる)

          (真っ赤になってお互いに視線を逸らす)

          (呂布は赤くなりながらも顔がにやける)
          呂布:(うふふっ)
          呂布:(陳宮クンがこっち見てくれた)

          (陳宮は顔は赤いが緊張した表情)
          陳宮:(呂布さんがこっちを見ていた!)
          陳宮:(も、もしかして、あの事について覚えているのかも!?)
          陳宮:(もし、そうだったら・・・か、かなり良くないです!)

          (教室でこの二人が頭から湯気が出そうな程真っ赤になっている)

          (生徒A、呂布の様子に気づく)
          生徒A:ほ、ほーちゃん!? 大丈夫!?

          (生徒A、呂布の肩を叩く)
          呂布;ひゃんっ!?
          生徒A:きゃっ! ど、どうしたの?
          呂布:え・・・あ・・・その・・・

          (生徒A、心配そうに言う)
          生徒A:さっきからため息ついたり、赤くなったり、にやけたり、大丈夫?
          (呂布:照れ笑いでその場を取り繕う)
          呂布:あ、あはは・・・大丈夫 うん

          (陳宮の前の席から生徒1が話し掛けようとする)
          生徒1:そう言えば陳宮、昨日のテレビ・・・
          (生徒1、真っ赤な陳宮をみて驚く)
          生徒1:お、おい陳宮、どうした?

          (陳宮、生徒1の声で我に返る)
          陳宮:えっ?
          生徒1:おい、大丈夫か? 顔赤いぞ
          陳宮:あっ、その・・・

          陳宮:いえ、何でもないありません
          生徒1:そ、そうか

          (朝礼開始の予鈴が鳴る)

          呂布:(このままじゃなにもかいけつしないわ)
          呂布:(おもいきってお昼休みに陳宮クンにそうだんしてみよう)
          (呂布、一人で頷く)

          (教師が引き戸を開けて教室に入ってくる)
          教室:はいはい 皆席について

          (教師が教卓につく)
          教師:おはようございます
          生徒一同:おはようございます

          (教師、出欠を取ったり連絡事項を伝えたりする)

          (教師は教室全体を見渡す)
          教師:えーと、それから今日は皆にお知らせがあります
          教師:今日はこのクラスに転校生がやって来ました


          (教師、廊下側に向かって声をかける)
          教師:じゃあ、教室に入って
          (快活な返事がする)
          声:はいっ

          (一人の生徒が教卓の側まで歩いてくる)
          (ざわめく教室)

          呂布:(わあ・・・かわいい子)

          (一部男子生徒は「あの子、すげえ可愛いくないか?」等と言っている)
          (女子生徒の何人かは対抗意識を燃やし転校生を見据える)

          呂布:(陳宮クンもあのコを見てるのかな)

          (呂布、横目で陳宮をチラリと見る)
          (しかし陳宮は怪訝そうな表情で無言のまま転校生を注視している)

          呂布:(あれ? 陳宮クン、どうしたのかな)

          教師:はーい静かに! ホラ、男子、喜びすぎない
          (教師は黒板に向かって転校生の名前を書く)
          (黒板には『張 遼 文 遠』と書かれる)

          教師:じゃあ、挨拶して?
          張遼:はいっ

          (張遼はアイドルのようなスマイルを浮かべて挨拶)
          張遼:今度転校してきた張遼文遠です
          張遼:皆さんよろしくお願いしまーす
          (ぺこりと頭を下げる)

          教師:座席は・・・あそこが空いてるから座りなさい
          (ざわめく教室)
          (指定された座席は陳宮の隣)
            ※↑座席の配置は陳宮の左右に呂布と張遼が居る形になります
          張遼:はい
          (張遼、席に向かって歩いて行き座る)

          (張遼、陳宮に向かって)
          張遼:私、張遼文遠って言います よろしくね
          陳宮:あ、はい・・・僕は陳宮公台です よろしくお願いします
          張遼:陳宮君ね 仲良くしましょ ねっ?
          (張遼は陳宮に微笑む)
          陳宮:え、ええ・・・
          (陳宮は複雑な表情で煮え切らない返事をする)

          (張遼、両手で頬杖をついてニコニコと笑いながら隣の陳宮を見ている)
          陳宮:あの、僕がどうかしましたか
          張遼:ん? なんでもないの ただ、陳宮君が気になっちゃって
          陳宮:はぁ

          (その様子を陳宮の肩越しに呂布が見ている)
          呂布:(う〜 なによ! 陳宮クン、はなの下のばしちゃって!)
            ※↑呂布にはこう見えたわけですが陳宮本人は違います

          教師:じゃあ、皆、仲良くするんだぞ
          (教師は出て行く)


          (教師が出て行った途端に張遼の周囲に次々と生徒が群がる)
          (陳宮の座席も人垣に飲み込まれ、陳宮の姿は紛れてしまう)
          (張遼に「どこから来たの?」「前はどんな学校?」等の質問がされている)

          (呂布はその様子を見ている)

          呂布:(張遼さんってすごい人気ね・・・)
          呂布:(陳宮クンとお話したかったけど、これじゃだめっぽいわね)
          (呂布、ため息)
          呂布:(陳宮クンにはまた後でお話してみようっと・・・)

          (生徒Aが後ろから呂布に話かける)
          生徒A:ね、ほーちゃん すごい人気ね
          呂布:張遼さん?
          生徒A:そう 前の学校でも成績優秀だったみたいよ
          呂布:ふ〜ん そうなんだ
          生徒A:勉強が出来て、運動も出来て、この人気・・・
          呂布:いいなあ
          生徒A:あら、ほーちゃんだって運動だけはものすごいじゃない
          呂布:う、うん むかしからそういうのはとくいなの
          生徒A:これでもう少し勉強が出来ればね
          呂布:あぅ そ、それは・・・
          生徒A:ごめんごめん 冗談よ
          呂布:うぅ〜 べ、べんきょうだってがんばるもん・・・

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          シーン4 学校の教室(授業中)
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          (教師が授業を始めようとする)
          教師:それじゃあ、前回の続きから・・・

          (呂布の横からガタガタと音がする)
          (黒板を見ていた呂布は音に気づいて横を向く)
          呂布:(あっ!)

          (張遼がガタガタと机を動かし陳宮の机とくっつける)
          呂布:(ちょっと、どういうこと!?)

          (声を潜めて会話する陳宮と張遼)
          張遼:陳宮君、お願いがあるの
          陳宮:何でしょう
          張遼:お隣、いいかしら?
          陳宮:席は隣のはずですが

          張遼:違うの 私、少しでも陳宮君に近い所がいいの
          呂布:(ちょっとちょっと! なにいってるのよ!)

          (教師、張遼が机を動かす物音に気づく)
          教師:ん? そこの2人、何かあった?
          (陳宮が何か言おうとするが、先に張遼が返事をする)
          張遼:あ、先生 私、まだ教科書がないんで見せてもらおうと思ったんです
          教師:あ、そうか 陳宮、見せてあげなさい
          陳宮:え、あ、はい わかりました

          (教師は黒板に向きなおす)

          (また声を潜めて会話する陳宮と張遼。その様子を見る呂布)
          陳宮:あの、見せるのは構いませんから、今度からそういう事は最初に教えて
             くれませんか?

          呂布(そうよ さいしょにいってよね!)

          張遼:ねえ、陳宮君 私が隣に来るのはイヤ?
          陳宮:嫌とかそういう訳ではないのですが

          張遼:そう、よかった 私はね、なるべく陳宮君の近くがいいの
          呂布:(な、なによ どういうこと)

          陳宮:は? どういう事ですか
          張遼:うふふ それはね・・・ナ イ ショ

          (呂布は悶々としながら授業を受ける)
          呂布:(う〜 なんでかわからないけど すごくヤなかんじ・・・)

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          シーン5 教室(休み時間)
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          (張遼の座席には黒山の人だかり)
          (張遼は生徒に取り囲まれて質問攻めにあっている)
          (人垣は先ほどと動揺に陳宮の座席も人に飲み込まれている)

          (教室の後ろに立っている呂布と生徒A)
          (二人は張遼の人気ぶりを見物しながら会話をしている)
          生徒A:ほーちゃん、気をつけなさいよ?
          呂布:(えっ! ぎょくじのことがばれちゃった!?)
          呂布:な、なにそれ
          生徒A:このままだと陳宮君取られちゃうかもしれないわよ?

          呂布:(よかったぁ・・・ちがったみたい)
          呂布(あれ? でも・・・)
          呂布:え、なにそれ どういうこと?
          生徒A:ほーちゃんも油断しちゃダメってこと
          呂布:なんのこと?
          生徒A:とぼけたってだーめ
          呂布:わたし、別にとぼけてなんかいないけど

          (生徒A,教室後方を指差す)
          生徒A:ほぉら、陳宮くん、そこにいるわよ がんばって!
          呂布:え?
          (呂布、生徒Aが指差して方向を見る)
          (陳宮が窓辺に立って、困ったような顔をして人だかりを見ている)

          生徒A:ほら、チャンスよ
          (生徒A、背中を押して陳宮の方へ軽く突き飛ばす)
          呂布:え、ええ!? ちょっと、なにするの!
          (呂布、陳宮の方へよろけて行く)
          (陳宮と呂布が鉢合わせする)
          (その様子に感づき、人ごみの隙間から横目で見ている張遼)

          張遼:ねえ、皆 あの子の名前を教えてくれない?
          (張遼、呂布の方を指差す)

          生徒ア:え、ああ 呂布だよ
          生徒α:フルネームは呂布奉先ちゃんって言うの 女子はほーちゃんって読んでるわ
          張遼:ふーん そうなの
          生徒α:ほーちゃんがどうかしたの?
          張遼:ううん、なんでもないわ ありがとね

          (陳宮、呂布の接近に気づく)
          陳宮:あ 呂布さん
          呂布:あっ! あの、あのね
          陳宮:え?
          呂布:えー、えっとね

          (呂布、心の準備が出来ていなかった為、赤くなる)
          (陳宮、前回の事がまた頭をよぎる)
          (陳宮も赤くなって黙る)
          呂布:(な、なにか話さなくちゃ)
          呂布:(えっと、えっと、なに話そう)

          呂布:あ、あの、陳宮クン!
          陳宮:は、はい!?
          呂布:その、張遼さんて、その、すごい人気ね
          陳宮:そ、そうですね
          呂布:・・・
          陳宮:・・・
          呂布:(どうしよう なに話そう)
          陳宮:えーと、その あ、あの、張遼さんの人気のおかげで僕も自分の席に座れなくって
          呂布:そ、そうみたいね
          陳宮:と、隣のクラスの人達まで来ているそうですよ
          呂布:そ、そうなの たいへんね あは あはは
          陳宮:そそ そうですね は、ははは、は
          呂布:・・・
          陳宮:・・・
          呂布:(あぅ〜 話が続かないよぅ)

          (予鈴が鳴る)
          陳宮:そ、そろそろ先生が来ますね
          呂布:そ、そうね

          (自分の座席に戻ろうとする呂布と陳宮)
          (生徒Aが呂布を呼び止める)
          生徒A:もう なにやってんのよ〜
          (呂布、困り顔)
          呂布:そんなこといっても〜
          生徒A:もっと攻めて行かなきゃ ね?
          呂布:うぅ〜

          (生徒A、何か思いついたのか手をたたく)
          生徒A:そうだ! 何か用事作って呼び出せば?
          呂布:ようじってなに?
          生徒A:何でもいいのよ 『相談したい事があるの』とか何とか適当な理由で
          呂布:そうだん・・・?

          (呂布、『相談』という言葉で何か思い当たる)
          呂布:(そっか、陳宮クンにそうだんしたいことがあったんだっけ)
          (呂布、頷く)
          呂布:わかったわ あとでやってみる
          生徒A:そうこなくっちゃ!

          (教師が入ってくる)
          (教師は教卓に向かって歩きながら声をかける)
          教師:ほらほら、授業始めるから 皆座って座って!
          呂布・生徒A:はーい!


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          シーン6 教室(昼休み)
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          (時計のアップ)
          (時刻は昼休みを指している)

          (張遼の机には相変わらず人だかりがある)
          (教室の隅で生徒1、2と談笑している陳宮)
          (その様子を見ている呂布と生徒A)

          生徒A:チャンスよ、ほーちゃん
          呂布:え、う、うん

          生徒1:あいつの正体って誰なんだろうなぁ
          陳宮:やはり佐山サトルではないか思いますよ
          生徒2:おいおい、今時そんな話すんなよ
          生徒1:なあ、外で遊ばないか 天気いいぞ
          陳宮:いいですね やりましょう
          生徒1:俺、何かボール調達してくる
          生徒2:他の奴らも誘おうぜ

          (三人の前に人影が立つ)
          生徒2:ん?
          生徒1:あれ?
          陳宮:っ!

          (頬を染めた呂布が立っている)
          (呂布はうつむいてモジモジしながら口を開く)
          呂布:あ、あの、ちょっといいかしら
          生徒1:どうした?
          生徒2:何か用か?

          (陳宮は緊張した面持ちで黙る)
          陳宮:・・・
          呂布:え、えっとね 陳宮クンに おはなしが あるの・・・

          (陳宮、ドキリとする)
          呂布:体育かんのうらまで・・・いっしょに来てほしいの
          陳宮:え!?
          呂布:ど、どう、かしら・・・?

          (生徒1と生徒2は顔を見合わせる)
          生徒1:・・・
          生徒2:・・・
          (生徒1・生徒2は呂布と陳宮の様子を交互に見る)

          呂布:陳宮クン、だめ?
          (呂布、上目遣いで陳宮を見る)
          陳宮:え、いえ、その
          呂布:だめ、なの?
          (呂布、ちょっと涙目になる)
          陳宮:そ、そんな事ありません 行きます

          (呂布の表情が明るくなる)
          呂布:ほんと!?
          陳宮:は、はい
          生徒2:おい、陳宮?
          生徒1:なんだ、遊ばないのか

          生徒B:そーいう事!
          (生徒A、Bが割って入る)
          生徒B:ホラホラ、あんまり野暮な事はしないの
          生徒1:おわっ! びっくりしたぁ
          生徒A:そうそう、あんた達の相手は私達がしてあげるから
          生徒2:なんだよ、それ
          生徒B:文句言わないの! それっ、あたし達はこっちに行くの!

          (生徒A・生徒Bは生徒1と生徒2の背中を押していく)
          生徒A:ささ、邪魔者はこっちへ
          生徒1:へいへい、わかったよ
          生徒B:ほーちゃん、がんばんなさいよっ!
          呂布:あのっ、わたし、陳宮クンにそうだんしたいことがあって
          生徒2:解ってるって、陳宮も頑張れよー!

          (生徒A、生徒1をたしなめる)
          生徒A:こらっ あんまりからかうんじゃないのっ
          生徒1:お互い様だろー?
          呂布:あのっ、わたし、ほんとに、
          生徒A:いーからいーから
          生徒B:ほーちゃん、がんばりなさいよーっ!

          (生徒A,生徒Bはそのまま生徒1と生徒2の背中を押しながら出て行く)
          (ポツンと残った呂布と陳宮)
          (二人は顔を見合わせるが、真っ赤になる)

          呂布:あの、陳宮クン
          陳宮:は、はは、はい! ななな何ですか!?
          呂布:行こ?
          陳宮:わ、わかりました
          (呂布・陳宮は連れ立って出て行く)

          (張遼はその様子を人垣の隙間から見ている)
          張遼:・・・あ
          生徒α:張遼さん、どうかした?
          張遼:ごめんね、私、用事があるの思い出しちゃった!
          (ガタンと席を立つ張遼)

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          アイキャッチ
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