「機動武将まじかる☆呂布リン!」
          第7話 『せきとのひみつ(仮)』Bパート
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          シーン1 董卓の根城(廊下)
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          (呂布を背負った陳宮が小走りに走っている)
          (廊下の角に差し掛かると陳宮は一旦脚を止め、様子を伺う)

          陳宮:呂布さん、もうすぐ外に出られます
          呂布:あ・・・う・・・
          (呂布は朦朧とした返事をする)

          陳宮:(しかし・・・)
          陳宮:(いかに恆でもそう長い間引っ掛かっているとは思えません)

          (陳宮、横目で呂布を見る)
          陳宮:(とにかく何としても呂布さんを外に連れ出さないと)

          (呂布が何か言おうとしている)
          呂布:ん・・・ん
          陳宮:どうしました?
          呂布:ん、きゅ、
          陳宮:え?

          (呂布は香の効果が薄れてきているが、まだ完全ではない)
          呂布:(わたし、しってる この人、しってる)
          呂布:(この人は・・・)

          (呂布は朦朧とした意識で何とか陳宮の名を呼ぼうとしている)
          呂布:きゅ、ぅ

          (陳宮、呂布を気遣う)
          陳宮:しっかり! もうすぐです!

          (呂布は陳宮を呼ぼうとする)
          呂布:ん、きゅ

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          シーン2 董卓の根城(謁見の間)
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          (恆の前に胡軫たちが跪いている)

          恆:探せ!探すのだ!何としても探し出せ!
          胡軫:しかし、まだ逃げたと決まったわけではないのでは?

          (恆は睨む)
          恆:例の香であやつは自らの意思で身動きは取れぬ筈 そうだな?
          李粛:はっ その通りでございます
          華雄:という事は?

          (黒いシルエットの者が音もなく現れる)
          (シルエット、そのまま恆の脇に立つ)
          声:まだ解りませぬか?手引きをした者がいるのですよ

          (李粛、驚きの表情)
          李粛:うっ 貴君は・・・
          恆:お前達だけでは心許ないからな

          (恆、脇に立つシルエットに向かって語りかける)
          恆:頼むぞ・・・李儒よ

          (シルエットの正体が明らかになる)
          李儒:お任せください
          (李儒は恆に向かって頷く)

          (李儒、家臣達に向かって指示を出す)
          李儒:おそらくまだこの建物の中、或いは近くに居るはず
          李儒:ただちに探せ!
          家臣一同:ははーっ

          (家臣達はバタバタと間を出て行く)
          (謁見の間には恆と李儒の二人のみが残る)
          恆:李儒よ、あの呂布だがどう見る?

          (李儒、間を開けて答える)
          李儒:そうですな・・・大変な武力はある、という事は間違いないでしょう
          恆:あの武力をなくすには惜しい。是非わが妾に

          李儒:妾?
          (李儒は眉をひそめる。「また悪い癖が出たか」とでも言いたげな表情)

          恆:いや、ち、違う。配下だ。我が配下に加えたい
          李儒:・・・確かに、あのまま放って置くのは脅威です
          李儒:ですがまた香を巧く使えば再び召し抱える事も容易でしょう

          (董卓、期待に満ちた顔で尋ねる)
          恆:まことか!?
          李儒:はい・・・そして近いうちに玉璽も献上して御覧に入れましょう
          恆:うむ。呂布も玉璽も頼むぞ
          李儒:はい

          (董卓、呂布のことを思い出す。妙に浮き足立つ)
          董卓:呂布よ、待っておれ 戻ってきたらすぐに続きをしてやるからな

          (対照的に李儒は冷静な表情で顎に手を当てて考えている)
          李儒:(香の効き目を寄せ付けない者が呂布の手引きをしたのだろうか?)
          李儒:(もしそんな者が居るとしたら・・・かなりの知力の持ち主か)
          李儒:(ふむ・・・?)

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          シーン3 董卓の根城(窓際)
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          (陳宮と呂布は最初に侵入した窓まで到着)
          (陳宮は背中の呂布を一旦降ろす)

          陳宮:ちょっと待って下さい

          (陳宮はまず先に出て窓の外の安全を確認)

          陳宮:大丈夫そうですね

          (陳宮は呂布を窓から外に連れ出し、地面に座らせる)

          陳宮:外の空気を吸っていればじきに香の効果も切れるでしょう

          (呂布は見当違いな事を口走る)
          呂布:・・・そう・・だ・・・がっこう・・・ちこく、しちゃ・・う・・・

          (陳宮、呂布を見る)
          陳宮:(香が切れてきましたか)
          陳宮:(副作用も出始めたようですね)

          (陳宮、呂布の肩を持って見据える)
          (陳宮、呂布に語りかける)
          陳宮:いいですか、呂布さん よく聞いてくださいね

          (呂布、陳宮を見る)
          呂布:あ・・・う

          陳宮:香の副作用で記憶の混乱が起こります
          呂布:や・・・こわい・・・よ
          陳宮:大丈夫です 混乱は一時的なものなのです
          呂布:そう・・・なの?
          陳宮:はい

          呂布:わかっ・・・た・・・
          (呂布、ゆっくりと頷く)
          呂布:ち、ん、きゅ クンが いう なら しんじ・・・る

          (陳宮、話を続ける)
          陳宮:赤兎馬がすぐ近くまで来ています
          陳宮:呼べばすぐに来るはずです そうすれば追手が来る前に逃げ出せます
          呂布:う・・・ん
          陳宮:呼び方は・・・解りますか?

          (呂布、ゆっくりと頷く)
          呂布:こ・・れ・・・つかう・・の
          (呂布は呼び笛をゆっくりとした動作で取り出す)

          陳宮:この笛ですね?
          (陳宮、呂布の手つきがおぼつかないので手伝う)
          (陳宮、呼び笛を呂布の手にしっかり持たせる)

          陳宮:それから・・・
          (陳宮、ちょっとの間、黙る)
          陳宮:それから・・・あなたは自分の力で脱出しました
          陳宮:誰の力も借りずに、一人で、です

          呂布:ち・・・が・・・
          (呂布、手を伸ばして陳宮の頬に触れようとする)
          呂布:ち・・・ん・・・きゅ た・・・すけて く、れた の
          (陳宮、呂布の手を握る)

          (陳宮、一瞬だけ苦悶の表情)

          陳宮:(呂布さんに存在を悟られる訳には行きません)
          陳宮:(これ以上長引くと記憶の混乱が収まってしまいます)
          陳宮:(そうなると、呂布さんの記憶に僕の事が残ってしまいます)

          (陳宮、すぐに微笑する)

          (陳宮、頬に伸ばされた呂布の手を押し戻す)
          陳宮:あなたの力です。呂布さん自身が、自分で脱出して来たんです
          呂布:・・・
          陳宮:いいですね?
          呂布:わた し、が じぶんで にげ・・・?
          陳宮:そうです

          陳宮:では赤兎馬を呼んでください
          呂布:う・・・ん
          (呂布、ゆっくりと頷いて笛を吹く)
          (陳宮、呂布が呼び笛を吹いたを確認する)

          陳宮:では、どうかご無事で
          (陳宮、そう言い残して茂みに飛びみ姿を消す)

          (呂布は笛を吹いている)
          (断続的に息を吸い、また吹く)

          (蹄の音が近づいてくる)
          (赤い陰が跳躍し空に舞う)

          赤兎:ほーちゃんっ!

          (赤兎が飛び降りてくる)
          赤兎:ほーちゃん! よかったぁ! そこにいたのね!
          呂布:あ・・・せ・・・きとちゃ・・・ん
          赤兎:すぐに安全な場所に移動しましょ!
          呂布:う・・・ん

          (赤兎は呂布を背に乗せる)
          赤兎:ほーちゃん、大丈夫?
          呂布:う・・ん

          (呂布は数回まばたきをしてぼんやりとする)
          呂布:あ・・・れ・・?

          (呂布、頭を2,3度振る)
          呂布:わ・・・たし・・・なんで・・こ・・・んな所に・・?

          (呂布はだいぶ意識がはっきりしてきた)
          呂布:せきとちゃん・・・行こう
          呂布:わ・・・たし、なら だいじょうぶ・・・だから、ね

          赤兎:ほーちゃん、しっかり捕まってね!
          呂布:わかった・・・いいよ・・・
          (赤兎は地面を蹴り高く跳ね上がる)

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          シーン4 董卓の根城(正面玄関)
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          (赤兎が飛び上がったタイミングと同時に李粛達が屋敷から出てくる)
          (李粛、遠ざかりつつある赤兎を見つける)
          李粛:おのれ! 赤兎馬め!

          (赤兎、下を振りかえる)
          赤兎:良かった・・・間に合った

          (李粛、飛び去る赤兎に向かって叫ぶ)
          李粛:赤兎馬! 元は我ら仲間だったろうが!

          (李粛の叫びを赤兎の背中で聞く呂布)
          呂布:え・・・?
          (赤兎は硬い表情になる)

          (赤兎は塀を飛び越えると猛然と駆け出す)
          赤兎:・・・
          呂布:い まの、どういう こと?

          (赤兎は黙ったまま)
          (その間にも董卓の根城から遠ざかる)

          呂布:せ・・・きとちゃん? ねえ・・・せ きとちゃん?
          赤兎:・・・

          (呂布、赤兎に呼びかける)
          呂布:うそ・・・だよね? せ きとちゃんが、あの 人たちの、なかま・・・だったなんて
          赤兎:・・・ほーちゃん、安全な場所に移動するわね・・・

          呂布:せ きと ちゃ・・・ん・・・!?
          赤兎:・・・
          呂布:なんとか・・・いって・・・ せ きと・・・ちゃん・・・?
          赤兎:・・・
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          第7話終了
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